伊達のあんぽ柿

はじめに

 伊達のあんぽ柿(以下、あんぽ柿)は、日本伝統のセミドライフルーツで、発祥の地として知られるのが、福島県伊達市梁川町の五十沢地区です。1923年に出荷組合が発足し、2022年で100周年を迎えました。そして、2023年1月「伊達のあんぽ柿」として、地理的表示(GI)保護制度に登録されました。
 JAふくしま未来に伺い、なぜこの地であんぽ柿が生まれたのか、その歴史や伝統的な製法について、お話を伺いました。

 


目次

●あんぽ柿とは?

 ー あんぽ柿の成り立ち

 ー あんぽ柿の特長と伝統製法

●あんぽ柿の品種紹介


 

あんぽ柿とは?

 あんぽ柿は、干し柿の中でも水分量が多く、鮮やかなオレンジ色の果肉と、トロリと柔らかい食感が特長です。そのため、歯に自信がない方でも美味しくお召し上がりいただける干し柿として、大変人気があります。

 

あんぽ柿の成り立ち

 「あんぽ柿」は、江戸時代から福島県伊達市の五十沢(いさざわ)地区で生産されていた「あまぼしがき(天干柿)」がルーツといわれています。「天干柿」が訛ったことで、「あんぽ柿」と呼ばれるようになったそうです。地域の生産者は、アメリカ・カリフォルニアの干しぶどうに処理されていた硫黄燻蒸を柿に応用できないかと研究し、1922 年にあんぽ柿の硫黄燻蒸技術が確立しました。1923年 には五十沢枯露柿出荷組合が創立され、2022 年で100年を迎えました。

 五十沢であんぽ柿が誕生した背景には、半田山という山と、地域を流れる阿武隈川の存在が大きく影響しました。
 冬になると、半田山から半田おろしと呼ばれる冷たく乾いた風が吹き、朝夕には阿武隈川から川霧が発生します。
 半田おろしによって、柿がよく乾燥します。干している過程で、柿自身の水分も滲み出ますが、川霧が程よく柿の表面に潤いを与えます。この柿が潤う状態を、「戻り」といいます。伊達地方では、乾燥と「戻り」を繰り返すことで、じっくりと乾燥が進むため、しっとりと柔らかく、トロリとした舌触りのあんぽ柿を作ることができます。

 伊達のあんぽ柿は、硫黄燻蒸などの生産者の技術と、伊達の自然の賜物といえます。

 

あんぽ柿の伝統製法

 伊達のあんぽ柿最大の特長は、色合いと食感です。それらを生み出す秘訣は、こだわりの伝統的な製法にあります。
 

こだわり①:追熟
 伊達のあんぽ柿は、きちんと追熟をさせてから皮を剥きます。綺麗な飴色のあんぽ柿にするためには、追熟して赤くなった柿を原料として使用します。
 生産者はもちろん、あんぽ工房でも、しっかり追熟させた柿を使ってあんぽ柿を作っています。
 

こだわり②:硫黄燻蒸
 硫黄燻蒸は干しぶどうの技術を応用して、100年前にマニュアルが作られました。今でもそのマニュアルに沿って、あんぽ柿を作っています。
 

こだわり③:乾燥
 半田おろしや阿武隈川の川霧といった地域特有の環境が、あんぽ柿の乾燥には欠かせません。ゆっくり時間をかけて乾燥させることで、渋みが抜け、甘みと旨みが凝縮した、美味しいあんぽ柿を作ることができます。

 

あんぽ柿の品種紹介

伊達のあんぽ柿は、2品種の柿から作られます。

 

①蜂屋柿

 福島県で最も多く栽培される柿が、蜂屋柿です。福島であんぽ柿といえば、蜂屋柿のあんぽ柿を指すといって良い主力の柿です。
 釣鐘型で先の尖った形をしており、種は入ったり、入らなかったりします。蜂屋柿が大玉の品種であるため、あんぽ柿も大きくて食べ応えがあるのが特長です。

 

②平核無柿

 いわゆるたねなし柿と呼ばれる柿です。稲刈りが終わってから、蜂屋柿のあんぽ柿を作る前にほんの少し農閑期となることから、蜂屋柿の前に少しだけ干してみようと始まったのがきっかけで生まれました。
 柿そのものが大きくないため、比較的小粒なあんぽ柿ですが、甘みが強く、根強い人気があります。

 

 平核無は11月下旬から、そして、蜂屋柿は12月中〜下旬から出荷が始まります。どちらも美味しい伊達のあんぽ柿です。ぜひ味わいの違いもお楽しみいただきながら、伊達のあんぽ柿により親しんでいただければと思います。

※この記事は、2023年11月30日の取材に基づき作成しました。

JAふくしま未来・JA全農福島のおすすめ商品

頒布会

  • 2023ザ・旬
  • 季節の寄せ植え

定期コース

  • フルーツトマト定期便
  • おいしい山形定期便

人気商品ピックアップ

  • ニッポンエール