JA鳥取中央の梨
目次
??JA鳥取中央ってどんなところ?
??二十世紀栽培の歴史
??二十世紀の美味しさの秘密
??高品質な梨づくりへの取り組み(花粉の自家採取)
??鳥取二十世紀梨記念館「なしっこ館」
JA鳥取中央については、こちらの記事でご紹介しています。
JA鳥取中央には、主に3つの梨の産地があります。
琴浦
琴浦は、管内の西部に位置します。
主力品種である二十世紀をはじめ、新甘泉や秋栄、なつひめなど、様々な品種を栽培しているのが特徴です。
黒ボクと呼ばれる土壌が広がる地帯で、その保水性の良さから、ジューシーで大きい梨が育ちやすいといわれています。
東郷
東郷は、管内の東部に位置します。
二十世紀と新甘泉、王秋に注力して梨を栽培しています。土壌は赤土がメインで、水はけが良く、甘い梨が育ちやすいといわれています。
倉吉
倉吉は管内中央に位置し、黒ボク、赤土両方の土壌が広がる地域です。
生産量は少ない産地ですが、二十世紀、新甘泉を中心に、品質の良い梨生産に取り組んでいます。
JA鳥取中央という同じJAではありますが、3つの産地がそれぞれに切磋琢磨し、梨の品質を高め合っています。
二十世紀は、明治21年に千葉県松戸市で偶然発見されました。鳥取県に持ち込まれたのは、明治37年。北脇永治氏によって持ち込まれ、斜面の多い鳥取県でも問題なく栽培できること、稲作の副業としても向いていることから、鳥取県内で徐々に広まっていきました。
新世紀(20世紀)の梨の王様になってほしい、との期待を込められ、生産を拡大していった二十世紀ですが、大きな問題に直面することになります。
梨の病害に、黒斑病という病気があり、二十世紀は黒斑病に極端に弱い梨です。黒斑病は雨風などですぐに広がる厄介な病気で、まったく収穫できない生産者が出るほど深刻な病気でした。
明治43年ごろから二十世紀の普及とともに全国的に蔓延し、栽培を断念する産地が出るほどでした。
鳥取県は、この病気を克服するため、生産者はもちろん、研究者や行政も一丸となり立ち向かっていきます。試行錯誤を繰り返し、有効な薬剤を一斉散布することや袋掛け栽培が有効だと突き止めました。
こうして鳥取県は黒斑病を克服し、二十世紀の栽培方法を確立することができ、鳥取県は二十世紀の一大産地となりました。
袋掛け栽培は今も浸透しており、そのおかげで、鳥取の二十世紀は品質が良いと評判です。
二十世紀は鳥取県を代表する産物として、今なお愛され続けています。
和梨は赤梨と青梨に分かれますが、二十世紀は青梨です。
現代では赤梨が主流となりつつありますが、青梨にしかない良さもあります。
つるんとした肌、まんまるに整った形に、透明感のある綺麗な黄緑色に、目を奪われます。
また、熟度が進むと、徐々に黄色みがかってきます。
熟度によって見た目の色が変わることから、二十世紀には二つの顔があるとされ、それぞれ食味にも特徴があります。
1.果皮が黄緑色…適熟の状態
梨の特徴である石細胞(食感のもと)がフレッシュな状態で、シャキッとした食感がやみつきになります。
甘さだけではなく酸味もしっかり感じられ、爽やかな味わいが特長です。
2.果皮が黄色…完熟の状態
1よりも、さらに熟度が進んだ状態です。酸味が和らぎ、より甘さが際立ちます。
食感も少し柔らかくなり、シャリッとした優しい味わいとなります。
それぞれに味わいの違いはありますが、二十世紀は水分量が多く、ジューシーな味わいが魅力の青梨です。
梨が実をつけるには、開花した時期に授粉をしなければいけません。果物の受粉には、ハチなどの訪花昆虫による自然受粉や、人の手による人工授粉などの方法があります。
人工授粉は手間がかかるため、訪花昆虫を購入または飼育し、自然受粉を行う果物が多いですが、二十世紀はほぼ全て、人の手で授粉作業を行います。花粉を梵天(棒の先端に綿がついたもの)に付け、花一つ一つに花粉を付けていきます。
また授粉に使用する花粉は、鳥取県ではそのほぼ全てを自家採取で賄っています。未知の病害発生リスクを抑えること、品質の良い梨を作りたいとの思いから、労を惜しまず、梨づくりに取り組んでいます。
※写真は、琴浦管内で撮影されたものです。
現在、火傷(かしょう)病というバラ科植物に感染する病気が、世界中で蔓延しています。日本では未確認ですが、感染力が非常に強く、国内に持ち込まれれば重大な被害が予想されます。
輸入花粉による火傷病感染のリスクを避けるため、日本政府は花粉の禁輸措置を取りました。火傷病ショックとして、花粉をどう確保していくかが大きな問題となっています。
梨の産地では、花粉を自家採取しようという機運が高まっており、鳥取県はそのモデルケースとして、全国の産地のお手本となっています。
・なつひめ(青梨:筑水×おさ二十世紀) 8月上旬?8月下旬
鳥取県園芸試験場で育成され、2007年に登録された早生の青梨です。
青梨の長所である見た目の美しさ、歯触りの良さ、ジューシーさを持ち、酸味がおだやかで上品な甘みを感じられます。
栽培が難しく生産量は少ないですが、ファンが多い青梨です。
・秋栄(あきばえ)
(赤梨:二十世紀×幸水) 8月中旬?9月上旬
鳥取大学が研究育成し、1997年に登場した品種です。
青梨の歯ざわりの良さやすっきり感と、赤梨の糖度の高さを良いとこ取りした味わいが特長です。
熟すと果肉が水浸状になりやすいこと(りんごでいう蜜入り)が特徴です。
通を唸らせる味わいの梨として、現在も高い評価を受けています。
・新甘泉(しんかんせん)
(赤梨:筑水×おさ二十世紀) 8月中旬?9月上旬
20年以上の長い歳月をかけて育成され、2008年に登録された鳥取県オリジナル品種です。
最大の特徴は、酸味が少なく糖度が高いところ。果肉はジューシーでサクッとした食感があり、大玉になりやすい品種です。
鳥取県の梨を背負う新たな梨として、非常に期待されています。
・二十世紀
(青梨:来歴不明) 8月下旬?9月中旬
美しい外観でジューシーな果肉は食感が良く、甘みと酸味のバランスがとれた爽やかな味わいの青梨です。
今なお愛され続ける、鳥取県を代表する品種です。
・甘太(かんた)
(青梨:王秋×あきづき) 9月中旬?9月下旬
2015年に品種登録されたニューフェイス。
甘太という名前は、“甘”くて果実大きくなりやすく(“太”)、栽培が比較的“簡”単であることに由来します。
果皮にサビが出やすい特性がありますが、晩生梨の需要を広げる品種として、生産拡大が期待されます。
・王秋(おうしゅう)
(赤梨:<二十世紀×慈梨>×新雪) 10月下旬?11月中旬
ラグビーボールのような形をした大きい梨で、冬に楽しめることから贈答用にも人気です。
柔らかめの食感と糖度の高さ、生産面でも作りやすいことから、生産者にも人気の梨で、生産量が増えています。
エースパックなしっこ館は、倉吉市にあります。
梨についてもっと知りたい!という方は、ぜひエースパックなしっこ館へ行ってみてください。
一年中、梨の食べ比べを実施しています。お子様の食育にもおすすめの記念館です。
エースパックなしっこ館の公式HP →