JAにしうわ「みつる共選」管内の紹介(取材日:2022年11月8日)
JAにしうわ管内は、愛媛県の西南部に位置し、八幡浜市・伊方町・西予市三瓶町の2市1町にまたがる。北は瀬戸内海、西は宇和海に面し、東は大洲市、南は西予市に隣接しています。
九州を望む海岸線はリアス式海岸が続き、急斜面が海岸に迫る地形で平坦地が少なく、穏やかな内海に面した海岸部の柑橘地帯は温州みかんの産地として全国的に知られています。
また、内陸部では中晩柑を組み合わせた複合経営が営まれ、「伊予柑」「せとか」「デコポン(不知火)」「清見」など露地や施設での栽培が行われています。
今回は、日土町、喜須来、宮内の3地区からなり、”「蜜る(みつる)」ブランド”を有する「みつる(保内)共選」管内で、伊予柑、デコポン、加温せとかの園地を視察しました。
生産者 玉井真吾さん「伊予柑」の園地を見せてもらいました
※摘果:余分な実を除くこと
【生産者(玉井真吾さん)のコメント】
「みつる共選」管内で伊予柑の生産量は以前、約6,000tあったのが、今では約2,300t位まで減りました。
いろいろな品種の生産を行っているこの管内では、作り易い伊予柑の生産が無いと複数栽培は難しいです。
最近ではそんな伊予柑生産が見直され増えています。
今年は夏場の高温干ばつの影響で若干着色が遅れ気味ですが、12月中旬頃から収穫が始まります。
この園地は12月収穫で寒さによる影響はありませんが、収穫が遅れることで寒さに合うと「ス上がり」になる可能性が高まってしまいます。
また、雨が多い年は水腐れになることもあるので注意が必要です。
※「ス上がり」とは、果実を樹に長くならせておいたり、長く貯蔵することで果実の砂じょうから水分が抜けたり、寒さに合うことで、果汁の氷結により果汁が蒸散することで発生します。
生産者 玉井真吾さん「デコポン(不知火)」の園地を見せてもらいました
※摘果:余分な実を除くこと
【生産者(玉井真吾さん)のコメント】
10月頃から鳥獣対策や風害対策として「サンテ」という袋を不知火に被せます。
被せた数によって不知火の数量見通しが見えるという利点もあります。
また、現状では不知火の玉肥大はほぼ終了しています。目標階級は3Lです。
愛媛県の不知火の収穫は1月に入ってから行います。熊本県と比べると樹になっている期間が1か月ほど長くなります。
不知火は雪には強いが暖かい雨が降ると落果します。(12月に20℃を超える雨は影響が出るとのこと)
(但し、凍結によるス上がりや苦味の発生には注意する必要があります。)
※不知火の中で基準をクリアしたものがデコポンとして出荷されます。
生産者 玉井健次さん「加温せとか」の園地を見せてもらいました
※摘果:余分な実を除くこと
せとかの栽培は加温施設栽培と省加温施設栽培、露地栽培があります。
加温施設栽培については露地栽培より1か月以上早く生育します。今回は加温施設栽培の園地を見せて頂きました。
【生産者(玉井健次さん)のコメント】
栽培上で注意するのは、春の開花から収穫まで、どの段階においても注意しなければならないです。
(伺った11月はハダニ等に注意が必要とのことでした)
特にせとかは寒さ(-3℃以下)に影響されるので、厳重な管理が必要です。
せとかの枝にはトゲがあるので、果実を傷めないためにトゲを取ってから収穫します。
また、実がなりすぎると次の年は少なくなる隔年結果になるために、目標階級は3Lになります。
玉井さんは、他にも紅まどんなと新品種の紅プリンセスも栽培しています。
人気品種の『紅まどんな』は、今年は小玉傾向で、隔年結果の影響も少ないとのことです。
また、愛媛県の新品種『紅プリンセス』は、今年から試験的に出荷される注目の品種で、3月中旬頃になる収穫が楽しみです。
紅まどんな、紅プリンセス、甘平 の状況について
【紅まどんな】今年は小玉傾向とのことです。隔年結果は少ないとのことです。
【紅プリンセス】愛媛県柑橘の新品種。愛媛県で今年から試験的に出荷されるとのことです。収穫は3月中旬とのことです。
【甘平】JAにしうわ管内では甘平だけが中晩柑類の中で生産量が前年より少ない見通しとなっているとのことです。
今年は干ばつ傾向で雨が降ると割れる可能性が高いために、予報を見て少しずつ園地を保水しておく対策を施しているとのことです。