あんぽ工房みらいについて
はじめに
GI認証「伊達のあんぽ柿」(以下、あんぽ柿)は、江戸時代から作られていた「天干柿(あまぼしがき)」が転じてあんぽ柿と呼ばれるようになったそうです。大正時代に硫黄燻蒸技術が確立し、現在のあんぽ柿となりました。伝統あるあんぽ柿ですが、生産量は年々減少しています。
その対策として、JAふくしま未来は「あんぽ工房みらい」(以下、あんぽ工房)というあんぽ柿の加工選別包装施設を設立し、2016年からあんぽ柿の自社加工や、選別・包装作業を行なっています。
あんぽ工房にお邪魔して、あんぽ柿とその歴史や、あんぽ工房が設立された背景、現在の取り組みについて、お話を伺いました。
目次
??あんぽ柿とは?
??あんぽ工房みらいについて
− あんぽ工房 設立の背景
− 機能① 生産基盤の拡充
− 機能② 生産者の負担軽減
??あんぽ柿製造工程
??これからの100年に向けて
参考:2023年度あんぽ工房の概要
※あんぽ柿については、以下の記事でご紹介していますので、ぜひご覧ください。
あんぽ柿は、東日本大震災の原発事故により、2年間、製造・出荷自粛を余儀なくされました。また、生産者の高齢化や、担い手不足による生産者の減少により、生産量も年々減少していました。
あんぽ柿の歴史と伝統を未来へ継承するため、あんぽ柿の生産基盤の拡充と、生産者の作業負担軽減を目的としてあんぽ工房が作られました。
生産基盤の拡充とは、あんぽ工房がJAふくしま未来の自社工場として、あんぽ柿を製造する、ということです。生産者から原料柿を買い取って、あんぽ柿の製造と、出荷・販売を行なっています。
生産者があんぽ柿を作っていて、一番負担になるのがパッケージです。あんぽ柿を出荷する前にブラシがけなどをして表面を綺麗にしたり、賞味期限を正しく印字するという作業ですが、年齢とともに細かいものが見えにくくなり、それを理由にあんぽ柿を作るのを辞められる方もいらっしゃいます。また、大規模な生産者さんは、パッケージ作業に追われて、別の農作業に影響が出るという方もいらっしゃいます。
そういった方々から干したあんぽ柿を預かり、パッケージ作業を請け負うという機能があります。
あんぽ工房の作業の流れを、簡単な図にまとめてみました。あんぽ柿の自社加工に加え、自社加工分だけではなく、生産者が干したあんぽ柿も含めて、選別包装作業する2つのラインに分けることができます。
図にもあるように、あんぽ工房は生産者と同じように、原料となる柿の追熟や硫黄燻蒸、環境を活かした乾燥という伝統製法を守り、あんぽ柿を自社加工しています。
唯一の違いは、図の⑥にもある初期乾燥工程です。あんぽ工房では、非常に大規模にあんぽ柿を干すため、カビ対策の目的もあり、初期段階で20?30%ほど、水分を減らす工夫をしています。
自社加工ではないあんぽ柿については、生産者が干し終えたあんぽ柿を集荷し、調整作業以降の選別包装工程を請け負い、全国に出荷しています。
あんぽ柿の購買層は、60歳以上の方で70%を占めるそうです。これは、子どもの頃に食べた美味しいあんぽ柿を、長くご愛顧いただいているということかと思います。その一方で、若い世代の方々の消費が伸び悩んでいます。ぜひ若い世代の方々にお召し上がりいただき、伊達のあんぽ柿のファンになっていただきたいです!
“伊達のあんぽ柿は美味いがら、食ってくなんしょ?”
参考:2023年度あんぽ工房の概要
※この記事は、2023年11月30日の取材に基づき作成しました。
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